コミュ- 黒い竜と優しい王国-(PCソフト)レビュー
ここは優しい王国。
世界は理不尽な博愛主義で、なにもかもを許容する。
力を手にした者は何を望み、何を願うのか。
さあ、おとぎ話を始めよう。
タイトル:コミュ- 黒い竜と優しい王国-
制作:暁WORKS
ジャンル:アドベンチャー
発売日:2011年08月26日(パッケージ版の発売は2009年10月22日)
プレイ時間:共通ルート+初回ルートエンディングまで約12時間半
るいは智を呼ぶ製作陣の2作目となる作品です。
既に本作品発売後の「& 空の向こうで輝きますように」を
見終わっているので、これが3作目となるプレイになります。
いつもながらるい智シリーズ作品は一気読みしてしまう
面白さがありました。
いまさらながらハローレディ!も買っておくべきだったかなと
少し後悔しています。
では、今回の『コミュ- 黒い竜と優しい王国-』をご紹介します。
先に伝えておきますが、作中数多くの死傷者が出る作品となっています。
○オープニング
高倉市は人々が賑わう平穏な都市ではあったが、
不審な事件や自殺が起こる暗い噂もある場所でもあった。
瑞和暁人は学園生活を送りながらも、
自分にだけ見えている歌う少女の存在が気になっていた。
そんなある日、夜の街で巨大な怪物を目撃し、
命を落としかねない危機に見舞われる。
暁人は少女の姿をした幽霊、怪物を知る者とも出会い、
不可解な出来事を探ろうとする。
そこで出会った4人の同志。
彼女達との出会いから怪物、『アバター』を授けられ、
この高倉市で多くの事件をその身で体験する。
道化、正義の味方、うそつき、メイド、チンピラ、
そして魔女を加えた6人はアバターでの戦いをすることになる。
○登場人物
・瑞和 暁人(みずわ あきひと)
本作主人公。一時期高倉市を離れ、親の都合で再びこの地で過ごすことになった。
子供の頃に知り合ったカゴメと再会し、
お隣同士に住む幼馴染として学園生活を共にすることになる。
昼は学生として、夜は酒場イズァローンでのアルバイトをしている。
自称フェミニストで女性には優しく紳士として接するよう心がけている。
自分にだけ見えている少女の姿の歌声に誘われ、
4人の仲間と出会う事になる。
・比奈織 カゴメ(ひなおり かごめ)CV一色 ヒカル
「私はお前のパートナーだからな。」
暁人の幼馴染にして学園で黒の魔女と恐れられる存在。
頭脳明晰、容姿端麗ではあるが誰の手にも負えない性格の悪さで
暁人を含めて周りに多大なる心労をまき散らす。
子供の頃に暁人からプロポーズされたことを忘れず、
暁人に対して愛情と罵声を与え続ける。
カゴメは暁人達5人組のアバターを召喚するコミュではないものの、
暁人のパートナーだから側にいるのは当然として、
6人組として行動を共にするようになる。
・竹河 紅緒(たけかわ べにお)CV島 夏美
「私、正義の味方だから」
悪を許さない正義の味方を自称する熱血少女。
有名女子校に通う生徒。
暁人達と同じく少女Aに呼ばれアバターの力は
正義に役立てる為の力だと信じて前のめりになる行動もしばしば。
コミュを組んでから出会う女性達のプロポーションの良さに
自己嫌悪するものの、日夜努力を重ねている。
身体をバカにするものは教育的しどー。
・柚花 真雪(ゆうばな まゆき)CV桜坂 かい
「私だけは最後まで暁人さんの味方ですよ。嘘ですが」
ちびっこ嘘つき、サブカルオタクの毒舌少女。
暁人や紅緒程の真面目さは持ち合わせておらず、
アバターに関しても興味はあるがその力を使って何かしようというより、
面倒毎に巻き込まれるのは勘弁というやや消極的な考えの持ち主。
普段からネットサーフィンなどをしており、
コミュを組んでからは高倉市で起きているコミュ関連の事件を
情報収集する役目を務めている。
・春日部 春(かすかべ はる)CV七ヶ瀬 輪
「お春さん、難しいことは考えないようにしているの」
メンバー最年長の常にメイド服姿の女性。
メイド喫茶で働いている制服をそのまま私生活でも着用している。
年上お姉さんとして面倒見はいいが、事なかれ主義な為、
面白そうなことがない限りはアバターにも積極的に関わろうとはしない。
(性的な意味で)経験豊富で幾人もの男性と交際関係を持っている。
・伊沢 萩(いざわ しゅう)CV長嶋 はやて
「さっさと来い、もしくはくたばれ。」
暁人が4人と出会った時に少女だと勘違いされた男。
不良グループでは伊沢は名の知れたチンピラで恐れられている。
アバターを手にしてからは新たな武器として
邪魔者を倒す力として単身で召喚を続けている。
○作中の用語
・少女A
全ての事件の発端。
選ばれた対象の人間のみに見えて彼女の歌声を聴くこととなる。
歌声に誘われた5人を誘い、アバターを召喚する力を与え、
その後姿を見せることはない。
彼女が一体何者で、何を目的で力を与えているかは誰にもわからない。
・アバター
5人を一組として与えられた召喚をできる巨大な「怪物」。
その姿は騎士・巨人・魔犬・魔弾と多様となっている。
召喚されたアバターは命令一つで高い戦闘能力を発揮する。
召喚自体は1人だけでも可能だが、アバターの制御に負荷がかかるため
5人揃っていないと本来の力を引き出すことができない。
暁人達コミュのアバターは竜型の派生の黒い竜、バビロンと名を付けた。
・コミュ
少女Aによって無作為に選ばれた5人組。
アバターを召喚する力を持ち、その力を持った者同士で交流を行い
コミュネットという繋がりを持っている。
アバターの力を無闇に使うべきでなく、
公に知られないように秘匿しようとする組織『ラウンド』。
そのラウンドの規律など押しつけを嫌い自由な活動を行う『ストライダー』。
他、思想信条もなく自分達の利益の為にアバターを狩りコミュを襲う連中。
暁人達はどこのコミュにも属さないが多々起こるトラブルに対処するため、
複数のコミュと交渉、時に戦うこととなる。
○バトルの展開
本作ではアバター同士で戦うシーンがメインとなり、
暁人達は命を懸けた戦いをすることとなります。
高倉市で起きた5人が集団自殺する事件が起きているのは、
コミュが召喚したアバターが破壊されたことが原因です。
そして破壊を行った方のアバターはレベルアップをし、
更に他のコミュを襲う事件が続きます。
当事者として巻き込まれた暁人達がどうなるか、
本作を見てもらえればと思います。
○フローチャート・Hシーン
選択肢を選びルートが分かれる一般的なアドベンチャーゲームになります。
初回は共通ルートから個別ヒロインのルートへ入りエンディングを迎えます。
2周目以降は共通ルートでの選択肢数が増え、複数のルートへ分かれ、
4つのエンディングを迎えると最終ルートが開かれ
全ての物語の結末となります。※お春さんルートがない・・だと?
戦闘中の選択肢で失敗する方をを選ぶとゲームオーバーとなりますが、
真雪先生の解説コーナーで反省をして直前の選択肢を選びなおします。
Hシーンでは全部で9人の1~4シーンとなっています。
○感想
作中でもギャルゲー・エロゲの主人公と言われるだけある、
色とりどりの美少女に囲まれた暁人君。
メインヒロインとのルートの途中でサブヒロインとも逢瀬をするなんて
これが今時の主人公なんでしょうかね?羨ま妬ましい・・
暁人○んでしまえ、もしくはマスターに掘られろ(暴言)。
さて、ゲームプレイ時の鬱憤も晴らし終えて、感想をまとめていきたいと思います。
アバターと呼ばれる召喚獣を呼ぶ力を手に入れた5人組のコミュのメンバー、
力を手にしたからと言って、最初から最後までアバターで命のやり取りをする
バトルものADVというわけでなく、
ルートによってはクライマックスだけ本格的な戦いをするだけ、
というちょっと肩透かしをするような展開もありました。
バトル以外で何があったかと振り返ってみると、
暁人や他のコミュでもアバターを手にする前と後での心境の変化、
コミュ同士の人間のやり取りや駆け引きが多く、
アバターより、アバターを手にした人間にスポットを当てていたような雰囲気がありました。
アクセプター(作中のヒーロー物語)を語る真雪の言葉が印象に残りますが、
「戦う人間にとって日常を過ごす時間がいかに大事であるか。」といったセリフ。
これはアバターで戦うことになった暁人たちに同じことが言えると思います。
いざ戦うときになっての命がけのバトルでは、
自分達はもちろん相手にも背負っている信念をぶつけあう
熱くもあり悲壮感もあるバトルに息をのみました。
その中でも王様と呼ばれる我斉が主人公に立ちふさがる
重厚なキャラクターであっただけに、暁人との距離感があり、
物語がよりいいものだったかと思います。
「甘いコーヒーを飲む男には、生きている資格がない」
ホットミルクココア飲んでいてこのセリフで吹き出してしまった
この作品も一気に見てしまいましたがちょっと苦手意識を持つ作品でした。
自分としてはもっと安易に、
『新たな力に目覚め、悪を倒して人々を救ったぜ!』的なノリのストーリーで満足できるのですが、
この作品は正反対といった感じで、
『力は手にしたが、相手のもっと大きな力を前に何もできない、
多くの人達が犠牲になったが、精一杯戦ってみせる!』という救われない
形の物語だっただけに盛り上がるに盛り上がれない辛さがありました。
この作品をプレイしたいと思う方は主要人物の6人、
暁人、カゴメ、紅緒、真雪、春、伊沢萩の胸中を感じながら
作品を見てもらいたいと思います。
以上、コミュ- 黒い竜と優しい王国-のレビューとなります。
最後までご覧いただきありがとうございました。
下記よりDMMにて購入ができます。
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